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プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験を読み解く【科目A編】― シラバスVer 0.2で見えた専門知識と,現行からの大変化

プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験を読み解く【科目A編】― シラバスVer 0.2で見えた専門知識と,現行からの大変化

プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験(PD-M)のシラバス(案)Ver 0.2で,科目A(専門知識)の中身が見えてきました。前編後編では科目Bを扱いましたが,今回は科目Aを,現行試験から大きく変わったところを中心に読み解きます。先に書いたPD-S(システム)の科目A編と対になる記事です。

シラバス(案)Ver 0.2で「科目A」が見えてきた

前編・後編で分析したVer 0.1では,公開されていたのは 科目Bのシラバス のみでした。今回のVer 0.2で 科目A(専門知識)の用語例 が加わり,PD-Mで問われる知識の範囲が具体的に見えるようになりました。

科目Aの構成は,PD-Sと同じく2階層です。

  • 科目A-1(共通知識):全区分共通の知識。別途「共通知識 シラバス(案)」で示される予定で,現時点では未公開 です。
  • 科目A-2(専門知識):区分ごとの専門知識。今回のVer 0.2で公開されたのはこちら です。

つまり今回見えたのは,PD-M固有の専門知識(科目A-2) の中身です。

科目A-2(専門知識)が扱う範囲

Ver 0.2で示されたPD-Mの科目A-2は,新しい共通体系の 大分類・中分類 でいうと,次の範囲をカバーしています。

大分類中分類
1 ビジネス変革1 ビジネス変革の方法論
1 ビジネス変革2 経営戦略・デジタル戦略
1 ビジネス変革3 ビジネスモデル・ビジネスプロセス
1 ビジネス変革4 サービスマネジメント
1 ビジネス変革5 プロジェクトマネジメント
3 組織活動12 ガバナンス・監査
6 セキュリティ24 情報セキュリティマネジメント
7 倫理・コンプライアンス28 ビジネス関連法規

一目でわかるとおり,「経営・マネジメント・ガバナンス・法規」に大きく振れているのが特徴です。技術系(デジタル技術・開発・運用)に寄っていたPD-Sとは,きれいに裏表の関係になっています。

PD-Sとの対比 ― 「守りの管理」と「作りの技術」

同じセキュリティでも,扱う中分類が違う点が象徴的です。

  • PD-M:大分類6 → 中分類24「情報セキュリティマネジメント」(リスクを管理し,統制する“守りの管理”)
  • PD-S:大分類6 → 中分類26「セキュリティ実装技術・評価」(機能を実装し,評価する“作りの技術”)

セキュリティに限らず,PD-Mは 「何を・なぜやるか(経営・管理)」,PD-Sは 「どう作るか(技術)」 という役割分担が,科目Aの範囲からもはっきり読み取れます。

母体4区分(ST・PM・SM・AU)との対応

前編で「PD-Mは現行4区分の素直な統合」と述べましたが,科目Aでもその対応関係がきれいに見えます。

現行区分PD-Mでの主な受け皿(中分類)
ST(ITストラテジスト)経営戦略・デジタル戦略/ビジネスモデル・ビジネスプロセス
PM(プロジェクトマネージャ)プロジェクトマネジメント
SM(ITサービスマネージャ)サービスマネジメント
AU(システム監査技術者)ガバナンス・監査

4区分の知識体系が,それぞれ中分類として1つずつ収まっている構図です。

現行から大きく変わったところ

用語例を現行のシラバスと見比べると,経営・ガバナンスのアップデートと,新しい法規の取り込みが目立ちます。特に3つの方向性を挙げます。

(現行のシラバスはIPAのシラバス一覧,変更の全体像は出題範囲の新旧対応表で確認できます。)

変化1:AI・DXが「経営レベル」で問われる

技術としてのAIはPD-S側ですが,PD-MではAIとDXが経営・ガバナンスのテーマとして登場します。

  • 社会変化の動向:AX(AIトランスフォーメーション),CX(コーポレートトランスフォーメーション),GX
  • デジタル戦略:DX経営に求められる3つの視点・5つの柱DX推進指標DX認定制度
  • ガバナンス:AIガバナンス(内部統制・デジタルガバナンス)
  • 法規:AI基本法(人工知能関連技術の研究開発・活用推進法)EU AI Act

AIを「どう作るか」ではなく「どう経営に取り込み,統制するか」を問う姿勢が明確です。

変化2:「プロダクトマネジメント/グロース」の正式登場

現行のST・PMのシラバスにはなかった,プロダクトマネジメント(PdM)とグロースの領域が新たに入っています。

  • プロダクトのマネジメント:PSF(プロブレムソリューションフィット)/PMF(プロダクトマーケットフィット),優先順位付け手法(RICE・ICE・MoSCoW・Kano),MRD/PRD
  • マーケティング:グロースループ,LTV,アトリビューションモデル,ROAS
  • ブランディング:ブランドパーパス,カテゴリーエントリーポイント

「システムを作る」だけでなく「プロダクトを立ち上げ,伸ばす」視点が求められるようになった,と読めます。

変化3:サステナビリティ×ガバナンス×新しい法規

経営の前提が,サステナビリティと新しいガバナンス・法規へと更新されています。

  • 経営戦略:サーキュラーエコノミー(循環経済)TCFD(気候関連財務情報開示),ESG投資,ダイナミックケイパビリティ
  • ガバナンス・監査:Three Lines Model,COBIT,J-SOX,JIS Q 38500,相補的な内部統制(CUECs
  • 情報セキュリティ:サイバーハイジーンUBA/UEBA,サプライチェーンのセキュリティ(SCS評価制度),DORA(デジタルオペレーショナルレジリエンス法)
  • 法規:フリーランス・事業者間取引適正化法情報流通プラットフォーム対処法,特定デジタルプラットフォーム透明化・公正化法,GX推進法

まとめと,今後について

Ver 0.2で見えたPD-Mの科目A(専門知識)は,次のようにまとめられます。

  • 公開されたのは科目A-2(専門知識)。科目A-1(共通知識)は別シラバスで後日公開
  • 範囲はビジネス変革・サービス/プロジェクトマネジメント・ガバナンス監査・情報セキュリティマネジメント・法規と,経営・管理側に大きく振れている
  • PD-S(技術)と裏表の関係。母体4区分(ST・PM・SM・AU)が中分類に素直に対応
  • 現行からの変化は,AI・DXの経営レベルでの取り込みプロダクトマネジメント/グロースの新設サステナビリティ・ガバナンス・新法規のアップデート

PD-Mを狙う方は,技術の深掘りより,経営・管理の幅広い知識をまんべんなく押さえることが軸になりそうです。特に新設・新規の用語(PSF/PMF,Three Lines Model,AI基本法など)は過去問でカバーできないため,シラバスを起点に早めに押さえておくのが得策です。

出典:本記事は,IPA公開のPD-M(マネジメント)試験 シラバス(案)Ver 0.2PDF)を分析対象とし,出題範囲の改定案新旧対応表現行シラバスを参照しています。いずれも (案) であり,IPAは「変更する可能性があります」と明記しています。

▶ シリーズ(PD-M):【前編】4区分統合の構図【後編】論述消滅と学習戦略/【科目A編】(本記事) ▶ あわせて読みたい:PD-S(システム)試験を読み解く【科目A編】

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