メモ用紙が配布されることになりました! 〜画面メモ・電卓の仕様と,CBT試験当日の段取りまとめ〜
2026年9月17日,IPAから「令和8年度前期試験におけるメモ用紙の配布について」が公表されました。8月の申込み要領では「紙のメモ用紙・筆記用具は配布しない」とされていましたが,方針が変わり,試験室入室時にメモ用紙1枚と筆記用具が配布されることになりました。同じ日にCBTS(試験実施団体)からは,科目A群の試験画面の操作説明(動画・PDF)も公開されています。画面上のメモ機能・電卓機能に紙のメモが加わることで,受験環境はかなり使いやすくなりそうです。この記事では,メモ用紙の扱いを中心に,新たに分かった画面メモ・電卓の仕様と,試験当日の段取りをまとめます。
メモ用紙が「配布あり」に変わった
まず,今回の発表のポイントです。IPAの発表文を要約すると,次のとおりです。
- 対象は令和8年度前期試験(AP・高度試験・SC)。後期試験も同様の措置
- 試験室入室時に,メモ用紙1枚と筆記用具を配布。試験画面上のメモ機能・電卓機能はそのまま使える
- 配布されたメモ用紙は試験室外への持出し禁止。試験終了後に全て回収
- 変更の理由は,「解答にあたっての思考の整理のために手書きのメモを引き続き希望する声も多く寄せられた」ため
8月26日の発表では,画面上のメモ機能・電卓機能を用意する代わりに,メモ用紙と筆記用具は配布しない,という説明でした。当時の記事でも「紙に書かずに解く練習を」とお伝えしましたが,受験者からの要望を受けて,約3週間で方針が見直された形です。筆者自身,科目Bで図や矢印が書けないのはかなり厳しいと感じていたので,かなりうれしい変更です。
「1枚」であることと,厳しい注意事項
気をつけたいのは,配布されるのが1枚だという点です。CBTSの「当日の流れ」にも,「メモ用紙には,試験開始前は何も記入しないでください」と明記されています。
すでにCBT化されている基本情報技術者試験(FE)や情報セキュリティマネジメント試験(SG)でも,会場でメモ用紙と筆記用具が渡される運用でした。ただ,FEを受けたときには,メモ用紙が足りなくなったら試験監督員に追加をお願いできたはずです。今回の発表では「1枚」と明記されており,追加できるかどうかは書かれていません。科目A群であれば1枚で十分でしょうが,科目B群では,限られた紙面をどう使うかをあらかじめ考えておいたほうがよさそうです(科目B群の運用の詳細は,後述のとおり10月上旬の操作説明を待つ必要があります)。
もう一つ,IPAは注意事項をかなり強い言葉で書いています。故意・過失を問わず,メモ用紙の持出し,写真撮影,試験問題を漏洩したと判断される行為があった場合は,採点せず失格としたうえで,損害賠償請求等の法的措置を講じる場合がある,としています。CBT試験は問題が非公開であり,紙が手元にあることで漏洩リスクが上がるからこその措置です。「うっかりポケットに入れたまま退室」といったことがないように,試験終了後は必ず回収してもらうことを意識しておきましょう。
画面上の「メモ機能」「電卓機能」の仕様が分かった
CBTSが公開した「科目A群 試験当日の試験アプリ 操作方法のご案内」(PDF,動画と同内容)で,これまで不明だったメモ機能・電卓機能の仕様が具体的に分かりました。
メモ機能でできること・できないこと
画面上部の「メモ」ボタンを押すと,問題画面の上にメモのウィンドウが表示されます。できることは,次のとおりです。
- ウィンドウのサイズ変更(外枠をドラッグ)と,半透明表示(下の問題文が透けて見える)
- 入力した文字の検索(ヒット箇所が黄色くマークされ,前後の一致箇所へ移動できる)
- 文字へのマーカー(赤・青・黄の3色。白で消去)
- メモ内の文字のカット・コピー・ペースト
- 「ローマ字」「かな」入力の切替え
- メモの内容は,受験している科目が終了するまで保持される(閉じても再表示できる)
一方で,はっきり「できない」と書かれているのが,次の2点です。
- キー操作でのカット・コピー・ペーストはできない(Ctrl+Cなどのショートカットは使えず,メモ内のボタン操作になる)
- 問題文中の文字をコピー・ペーストすることはできない
「コピー・ペーストができる」と聞いて,問題文の一部をメモに貼り付けて整理できるなら,特に科目Bの記述式で便利になりそうだと期待したのですが,コピーできるのはメモ内で自分が入力した文字だけのようです。問題文の条件をメモに移すには,自分で打ち込むか,紙に書き写すことになります。この点で,紙のメモ用紙が配布される意味は,やはり大きいと言えます。
電卓機能
画面下部の「電卓」ボタンで表示されます。小・中・大の3サイズから選べ,タイトルバーをドラッグして好きな位置に移動できます。前回の記事で「約24年ぶりの電卓復活」と書いたとおり,計算問題の筆算から解放されるのは大きな変化です。操作説明の画面を見る限り,キーは数字(0〜9・00)・小数点・四則演算(+−×÷)・±・AC(全消去)・BS(1文字削除)・=だけで,関数電卓ではなく,ごく普通の電卓です。平方根やメモリー機能,べき乗などはないので,2進数・16進数の変換やルートの計算は,従来どおり手で解く前提で準備しておきましょう。また,マウスでボタンをクリックする操作になるため,慣れないと速くは打てない点は変わりません。
そのほかの画面操作
操作説明には,メモ・電卓以外にも押さえておきたい機能があります。
- 画面は左が問題文,右が解答選択欄。境目をドラッグして左右の表示割合を変更でき,スライダーで問題文の拡大・縮小もできる
- 「後で見直す」ボタンで問題にチェックを付け,「解答状況」一覧から未解答・解答済み・後で見直すものを色で確認して,指定の問題へ移動できる
- 「白黒反転」で画面の色を反転できる
- 選択した解答を再度クリックすると未解答に戻る。未解答のまま次の問題へ進める
- 残り時間が0になると自動的に終了。科目A-1を終了すると休憩画面になる
なお,CBTSは科目A群向けチュートリアルも公開しています(PCのみ。スマートフォンからは利用できません)。ただし,チュートリアルでは電卓機能やメモ機能の体験はできないので,そちらはPDFや動画で確認してください。
科目B群の操作説明は「10月上旬」
今回公開されたのは科目A群(科目A・科目A-1・科目A-2)の操作説明だけです。科目B群の試験画面操作説明は,10月上旬に公開予定とされています。記述式・論述式の解答をどう入力するのか,メモ機能やメモ用紙をどう組み合わせるのかは,科目Bのほうが影響が大きいだけに,こちらの案内が待たれます。公開され次第,本ブログでもお伝えします。
「紙」「画面メモ」「電卓」の使い分けを考えておく
3つの道具がそろったことで,逆に「どれを何に使うか」を決めておかないと,本番で迷いそうです。現時点で考えている使い分けは,次のとおりです。
| 道具 | 向いている用途 |
|---|---|
| メモ用紙(1枚) | 図・矢印・表など,手書きでないと書きにくいもの。ネットワーク構成図への書込み,E-R図,攻撃の流れ,トレース表など |
| 画面メモ | 問題文の条件の箇条書き,計算の途中結果,検討中の選択肢の消去メモ。検索・マーカーで後から見返せる。科目終了まで残るので,「後で見直す」問題の検討メモに便利 |
| 電卓 | 稼働率・MTBF/MTTR,待ち行列,伝送時間,投資対効果などの数値計算 |
紙は1枚しかないので,「紙は図専用,文字は画面メモ」と決めておくと,紙面を無駄にしにくいと思います。科目A群では,メモを取る場面自体が多くないので,計算の下書きと迷った問題の番号を紙に,と割り切るのもよいでしょう。
試験当日の段取り
CBTSのページには「当日の流れ」もまとまっています。読んでみると,これまでFEやSGをCBTで受けたときの流れとほぼ同じです。本人確認書類を見せて受付し,荷物をロッカーに入れ,メモ用紙と筆記用具を受け取って入室し,配布されたIDでログインする——FEを受験したことのある方なら,見慣れた段取りだと思います。メモ用紙の受取りも含めて,時系列で整理しておきます。
当日の流れ
- 来場:試験開始時刻の30分前から開場・受付開始。15分前までを目安に受付する。待合スペースに到着した時点が来場時刻
- 受付:本人確認書類を提示(受験票はありません)。注意事項の説明を受け,当日配布されるログイン情報シートに同意・署名
- 荷物:携帯電話や上着など,机上に置けるもの以外はすべてロッカーへ
- 入室:試験監督員の説明後に入室。このときメモ用紙1枚と筆記用具を受け取る。試験開始前は何も書かない
- ログイン:ログイン情報シートのIDとパスワードで試験アプリにログイン → 氏名を確認 → 文字入力方式(ローマ字/かな)を選択し,入力欄で動作を試す → チュートリアル → 本試験
- 科目A-1 → 休憩10分 → 科目A-2(高度・SC):科目A-1が終わると自動的に休憩が始まり,10分経つと自動で科目A-2が開始される。試験室の外で休憩する場合は,再入室時に本人確認と所持品確認があるので,時間に余裕をもって戻る
- 終了:科目A群の得点はその場で画面に表示される(2〜3時間後にはマイページでも確認可)。ログアウトして退席し,受付で渡されたもの(メモ用紙・筆記用具・ログイン情報シート)を返却して終了
机の上に置けるもの
机上に置けるのは,ハンカチ,ポケットティッシュ,目薬,水,ログイン情報シート,会場備品のメモ用紙・ボールペンだけです。水は,無色透明のペットボトルでラベルをすべて剥がし,キャップを閉めたもの,1人1本・1000ml以下という条件があります。お茶やコーヒーは不可です。自分で用意した筆記用具やメモ用紙は持ち込めません。
遅刻・変更の期限
- 遅刻:1科目目の試験終了時刻までなら入室できるが,終了時刻の繰下げはなし。1科目目の終了時刻を過ぎると受験できず,2科目目のみの受験もできない。手数料は返還されない
- 試験日時・会場の変更:科目A群・科目B群それぞれ,試験日の3日前まで(空席がある場合に限る)
- 試験区分・免除科目の変更:10月24日(土)17時まで
「試験の内容」の準備も忘れずに
ここまで受験環境の話を書いてきましたが,肝心なのは試験の内容そのものの準備です。CBTSのページにもあるとおり,「各試験区分で問う知識・技能の範囲や,出題形式,出題数,試験時間等に変更はありません」。メモ用紙が配られるようになっても,電卓が使えても,問われる力は従来どおりです。
昨日の記事でお伝えしたとおり,高度・SCの科目Aは10月17日からで,もう1か月を切っています。申込受付は10月6日(火)10時開始。段取りを頭に入れたら,あとは過去問演習に戻りましょう。科目Aの過去問演習には,弊社代表が研究の一環で運営しているNexusもご活用ください。高度・SCの科目A-1(共通知識)だけでなく,科目A-2(専門知識)や,APの科目Aの演習にも使えます。
まとめ
- メモ用紙1枚と筆記用具が,試験室入室時に配布される(前期・後期とも)。画面のメモ機能・電卓機能も引き続き使える。8月の「配布なし」から方針転換
- メモ用紙は試験開始前は記入不可,持出し禁止,終了後に回収。持出し・撮影・漏洩は失格+法的措置の可能性
- 画面メモはサイズ変更・半透明・検索・マーカー3色・メモ内のカット/コピー/ペーストができ,科目終了まで保持。ただしキー操作不可・問題文からのコピー不可
- 電卓は四則演算のみの普通の電卓(関数電卓ではない)。3サイズ・移動可。そのほか,左右の表示割合の変更,拡大縮小,「後で見直す」,「解答状況」一覧,白黒反転など
- 科目B群の操作説明は10月上旬公開予定。記述・論述の入力方法は続報待ち
- 当日の流れはFE・SGのCBTとほぼ同じ。30分前開場・15分前受付,本人確認書類必須(受験票なし)。A-1とA-2の間は自動で10分休憩。終了後にメモ用紙などを返却。FEでできたメモ用紙の追加については記載なし
- 受験環境は整ってきた。あとは10月6日の申込みと,科目Aの過去問演習を
出典:IPA「令和8年度前期試験におけるメモ用紙の配布について」(2026年9月17日),CBT-Solutions「令和8年度 応用情報技術者試験及び高度試験(SC含む)」および「科目A群 試験当日の試験アプリ 操作方法のご案内」(PDF)。操作説明には「画面レイアウトや文言は変更となる場合がございます」と記載されています。
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