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新試験の正式名称は「高度情報技術試験」に? 〜省令改正案を読む:試験区分の改名,免除の経過措置,中小企業診断士の科目免除〜

新試験の正式名称は「高度情報技術試験」に? 〜省令改正案を読む:試験区分の改名,免除の経過措置,中小企業診断士の科目免除〜

2026年10月16日,経済産業省が「情報処理の促進に関する法律施行規則の一部を改正する省令(案)」等の意見募集(パブリックコメント)を開始しました。2027年度から始まる新試験制度を,法令の側から定めるための改正です。先日の受験記で軽く触れましたが,この省令案を読むと,プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)の正式名称が「高度情報技術試験」になること,現行試験の合格者に対する免除の経過措置,そして中小企業診断士試験の科目免除の見直しなど,受験者に直接関わる内容が含まれています。縦書きの法令文で読みにくい資料ですので,ポイントを整理してお伝えします。

意見募集の概要

  • 対象:情報処理の促進に関する法律施行規則の一部を改正する省令(案)ほか,関連する告示・基準の案
  • 意見募集期間:2026年10月16日(金)〜11月14日(土)必着
  • 趣旨(意見公募要領より):情報処理技術者試験について,AI等のデジタル技術の急速な進化によるスキルの変化を踏まえ,現行の試験区分を見直し,令和9年度(2027年度)内の開始を予定。あわせて,災害等により受験できない場合の科目免除の期間や,試験の実施期日等の公示方法を見直す。情報処理安全確保支援士の登録手続のオンライン化も含む
  • 施行期日(附則):令和9年(2027年)4月1日(一部の様式は同年3月8日)

資料はe-Govで公開されています(意見公募要領/省令案)。以下は,省令案の新旧対照表から読み取れる内容です。あくまで「案」であり,意見募集を経て変わる可能性があります。

ポイント1:試験区分の正式名称 ― 「高度情報技術試験」へ

省令の別表(第三十七条関係)に,情報処理技術者試験の区分が定められています。改正案の別表に並ぶ区分は,次の7つです。

改正案の区分名IPAの資料での仮称
高度情報技術マネジメント試験プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験(PD-M)
高度情報技術データ・AI試験プロフェッショナルデジタルスキル(データ・AI)試験(PD-D)
高度情報技術システム試験プロフェッショナルデジタルスキル(システム)試験(PD-S)
基本情報技術者試験(継続)
データマネジメント試験データマネジメント試験(仮称)
情報セキュリティマネジメント試験(継続)
ITパスポート試験(継続)

IPAがこれまで「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」と呼んできた3区分は,省令案では「高度情報技術マネジメント試験」「高度情報技術データ・AI試験」「高度情報技術システム試験」となり,この3つを総称して「高度情報技術試験」と呼んでいます(第三条第二項第三号)。現行の「高度試験」という呼び名を引き継ぎつつ,「情報技術」を冠した形です。「データマネジメント試験」は仮称がそのまま正式名称になっています。

別表には試験の科目も定められています。高度情報技術試験の3区分は,いずれも「一 情報処理システムに係る業務に関する共通的知識」「二 (専門分野)に関する専門的知識」「三 (専門分野)に関する専門的能力」の3科目構成で,これが科目A-1・科目A-2・科目Bに対応します。基本情報技術者・データマネジメント・情報セキュリティマネジメントは「共通的基礎知識」「共通的基礎能力」の構成,ITパスポートは「共通的基礎知識」の1科目です。

一方,改正前の別表にあった応用情報技術者試験と,ITストラテジスト・システムアーキテクト・プロジェクトマネージャ・ネットワークスペシャリスト・データベーススペシャリスト・エンベデッドシステムスペシャリスト・ITサービスマネージャ・システム監査技術者の8区分は,別表から姿を消します。旧資格と新資格の対応関係でお伝えしてきた再編が,法令上も確定に向かうことになります。

なお,情報処理安全確保支援士試験は,情報処理技術者試験とは別の試験(法第六条)として,引き続き規定されています。

ポイント2:科目A-1の免除 ― 現行試験の合格者は2029年6月30日まで有効

先日の記事で,「現行試験で得た科目A-1の免除資格は新試験にも引き継がれる見込み」とお伝えしました。省令案には,その具体的な中身が書かれています。

本則:新試験どうしの免除

改正後の第三条(支援士試験の免除)と第三十八条(技術者試験の免除)では,次の者が,公示の日から2年以内に受験する場合に,共通的知識の科目(科目A-1)を免除されます。

  • 高度情報技術試験(3区分)のいずれかに合格した者
  • 高度情報技術試験を受験し,共通的知識の科目で経済産業大臣が定める基準に達する成績を得た者(いわゆる科目A-1通過者)
  • 支援士試験の合格者・科目A-1通過者(技術者試験側の免除)

改正前にあった「応用情報技術者試験に合格した者」の号は,本則からは削除されます。APが廃止されるためです。

経過措置:旧区分の合格者・通過者も,2029年6月30日まで

ただし,附則第二条に経過措置があります。令和11年(2029年)6月30日までの間は,改正前の規則に基づく高度試験(8区分)の合格者・午前Ⅰ(科目A-1)通過者,および応用情報技術者試験の合格者も,免除の対象として読み替える,という規定です。

つまり,2026年度の前期・後期試験でAPに合格するか,高度試験・SCの科目A-1を通過しておけば,新試験の科目A-1も免除されることが,省令案のレベルで裏づけられました。免除の有効期間は従来どおり「公示の日から2年」なので,2026年度後期(2027年2〜3月実施,合格発表6月頃)の免除資格なら2029年6月まで使えます。経過措置の期限が「2029年6月30日」とされているのは,このためと考えられます。

先日の記事でお伝えしたとおり,高度情報技術試験の科目A-1は60問になる予定です。来年度以降に高度情報技術試験を受けるつもりの方は,今年度のうちに免除資格を取っておく価値が,いっそうはっきりしました。

災害等の場合は,免除期間を延長できる

もう一つ新しいのが,免除に関する各号に追加された「ただし書き」です。災害その他やむを得ない事由により2年の期間内に受験することが困難であるときは,経済産業大臣が当該事由を勘案して定める期間内に受験すればよい,とされました。意見公募要領にある「災害等により受験できない場合における両試験の科目免除の期間の見直し」にあたる部分です。CBT化で試験日が分散する中,被災時の救済が制度として明文化されるのは安心材料です。

ポイント3:中小企業診断士試験の科目免除 ― 「マネジメント」と「システム」の合格者が対象に

省令案の附則には,他の規則の改正も含まれています。その一つが,中小企業診断士の登録等及び試験に関する規則の改正(附則第四条)です。

中小企業診断士の第1次試験では,一定の資格をもつ人は「経営情報システム」の科目が免除されます。情報処理技術者試験については,現行では次の区分の合格者が対象です。

  • 改正前:ITストラテジスト試験,システムアーキテクト試験,プロジェクトマネージャ試験,システム監査技術者試験,応用情報技術者試験の合格者

これが,改正案では次のように変わります。

  • 改正後:高度情報技術マネジメント試験又は高度情報技術システム試験の合格者

現行の対象5区分のうち,ST・PM・AUは高度情報技術マネジメント試験に,SAは高度情報技術システム試験に,それぞれ再編される区分です。応用情報技術者試験は廃止されるため,対象から外れます。一方,高度情報技術データ・AI試験は対象に含まれていません。現行でも,ネットワークスペシャリストやデータベーススペシャリスト,エンベデッドシステムスペシャリストといった技術系の区分は免除の対象ではありませんでした。「経営情報システム」の免除は,経営・マネジメント寄りの区分と,システム全体を設計する区分に限るという考え方が,新試験でも引き継がれた形です。

そして,こちらにも経過措置(附則第五条)があります。改正前のST・SA・PM・AU・APの合格者は,改正後も引き続き,申請により経営情報システムの免除を受けられます。こちらには期限の定めがありません。すでにこれらの区分に合格している方の免除資格は,そのまま残ると読めます。

なお,同じく附則で弁理士法施行規則も改正されますが,こちらは支援士試験・技術者試験の合格証書に関する条文番号の整理が中心で,免除の内容そのものを変えるものではなさそうです。

ポイント4:公示方法が「官報」から「インターネット等」へ

細かい点ですが,試験の実施期日・場所などの公示や,合格者の受験番号の公示について,「官報に公示する」が「インターネットの利用その他の適切な方法により公示する」に改められます(第四条,第八条,第十六条)。CBTで年に何度も,会場ごとに異なる日程で実施される試験には,官報よりもWebでの公示のほうが実態に合っています。意見公募要領で「インターネットの普及を踏まえた試験の実施期日等の公示方法を見直す」とされている部分です。

合格者台帳の電磁的記録化や,IPAが試験事務を行う場合の規定の整理,情報処理安全確保支援士の登録申請のオンライン化(マイナンバーを利用した住民票・戸籍情報の確認,添付書類の省略)なども含まれていますが,受験者への直接の影響は小さいので,ここでは割愛します。

まとめ

  • 経済産業省が省令改正案の意見募集を開始(2026年10月16日〜11月14日)。施行は2027年4月1日の予定
  • PD試験(仮称)の正式名称は「高度情報技術マネジメント試験」「高度情報技術データ・AI試験」「高度情報技術システム試験」,総称して「高度情報技術試験」。データマネジメント試験は仮称のまま正式名称に
  • 別表から応用情報技術者試験と高度試験8区分が削除される
  • 科目A-1の免除は,新試験の合格者・通過者が対象。経過措置として,現行の高度試験・AP・SCの合格者・通過者も2029年6月30日まで免除対象
  • 災害等の場合は免除期間を延長できる規定を新設
  • 中小企業診断士試験の「経営情報システム」免除は,高度情報技術マネジメント試験・システム試験の合格者が対象に。データ・AI試験は対象外。旧区分(ST・SA・PM・AU・AP)の合格者は引き続き免除
  • 公示方法が官報からインターネット等へ

いずれも改正案の段階です。IPAの試験名称も,正式決定後に改めて発表されると思われます。わく☆すたでは,確定した情報が出ましたら,区分ページとあわせて更新していきます。

出典:経済産業省「情報処理の促進に関する法律施行規則の一部を改正する省令(案)」および「意見公募要領」(e-Gov パブリック・コメント,2026年10月16日)。本記事は,新旧対照表を筆者が読み取って整理したものであり,条文の解釈には筆者の理解を含みます。正確な内容は原文をご確認ください。

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