
採点官は文章「だけ」で判断する
わく☆すた,美月です。
先日,友人が作ったホームページについて,「売りつけよう,って意図が見え見えで,買う気がおきなくなるページ」という話をしました。すると,「そんな意図で作ったんじゃない!」と,怒っていろいろ説明してくれました。
その話を聞く限り,「なるほど」とは思えるのですが,買うかどうかを判断するお客さんは,ホームページしか見ないんだし,いくら口頭で説明されても,それは通じません。
全然IT系じゃない友人で,「人はホームページで見た文章だけで判断する」ということを納得してもらうのに,とても骨が折れました。
論文や事例解析の午後問題で添削指導をやっていても,よくこういうことが起こります。
添削して,「ここの部分の意味がわからない」ということを書くと,「これはこういうことなんです!」と一生懸命説明(言い訳?)しようとする人がいます。
説明されてやっと伝わる,という内容は,実際の試験ではまず伝わりません。採点官は,提出された答案用紙の「文章だけ」で判断するからです。
文章力以前の話で,論文で結構多いのが,その会社特有の言い回しです。
「P層には~を使用し」とか,「STを実施した」など,多分会社独自で使っている略語なのでしょうが,これはまず伝わらないです。専門用語がすべてNGというわけではなく,午前や午後1問題に出てくるような用語は使えますので,「P層」と書かず「プレゼンテーション層」と書けば通じます。自分がやっていることを,他の会社の人に説明できるように,「今やっていることに対応する一般用語は何か」ということは,ちゃんとチェックしておく必要があります。
あと,事例系の午後2で多いのは,聞かれていることに全部答えていない答案です。
「~に着目して,原因を述べよ。」という問題で,着目した点について書かれていなかったり,逆に着目した点にだけ答えて,原因が書いてなかったりするパターンは,見ていて結構多いです。「言いたいことはわかって,技術力があるのもわかるんだけど,それは設問が意図した答えとずれてる」というのは,しょっちゅう見かけます。
論文でも事例系でも,「聞かれていることにちゃんと答える」という視点が大事です。
自分では,「できた!」と思っていても,実際には意味不明の文章になっている人はよくいます。
情報セキュリティスペシャリストでは,「午後2の解答例を見ると,全部合ってるように見えるのに,なぜ不合格なんだ!」と言ってる人も聞きます。これは多分,言いたいことをちゃんと試験管に伝える文章が書けてなかったんだと思います。
個人的な感想では,普段の生活で口が達者で,人をいいくるめるのが得意な人ほど,試験に受かりにくいと感じています。普段のコミュニケーションは,文章だけではなく,目や耳や口など,五感すべてを使って行われているので,実際のやりとりに言葉が占める割合は,実はそれほど高くありません。
これが,試験答案だと,文章「だけ」がクローズアップされます。手書きなので,「文字の印象」でも多少は左右されますが,基本的に文章オンリーでの勝負です。言葉での補足はできませんので,文章だけ読んでも状況がわかるように書く必要があります。このあたり,いつも口でごまかしている人は弱いような印象を受けています。逆に,普段無口な人が,びっくりするぐらい整然とした文章を書いてきて見直す,ということもよくあります。
ですので,書いた文章はぜひ人に見てもらってください。
専門家だともちろんベストですが,奥さんや友人など,身近な人に見てもらうだけでも大分違います。合格する論文は,全然わからない人が読んでも,なんとなく意味が通じます。論理的に一貫していると,途中の専門用語が分からなくても,流れを捉えることができるからです。
事例系の場合は,解答例と自分の答案を両方渡して,「この解答例と自分の答案,同じこと言ってるように見える?」と聞いてみると,客観的なフィードバックが得やすいと思います。
情報処理技術者試験の採点官は,答案に表れている文章「だけ」で判断して,採点します。
そこには言い訳,補足は一切通用しません。
そのことを踏まえた上で,「ちゃんと相手に伝わる」文章を書く訓練を積むことは大切です。
こういった,文章で伝える力は,仕事の場でもプライベートでも重要なスキルです。
ですので,ぜひ,試験対策にかこつけて,身につけるようにしてみてください。